【簡単にわかる】医療保険とは?詳しく解説します

読者の悩み

  • 医療保険ってどんなの?
  • 医療保険の対象者ってどんな人?
  • 医療保険について詳しく教えて

こういった疑問に答えます

この記事を書いている私は実際に「FP」について学習し、試験に合格しています

こういった私が解説していきます

健康保険(健保)

健康保険は、被保険者(会社員等)とその被扶養者(家族)に対して、労災保険の給付対象とはならない病気やケガ、死亡、出産について保険給付を行う制度です

保険者

健康保険は、全国健康保険協会が保険者となる全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)と、健康保険組合が保険者となる組合管掌健康保険(組合健保)があります

協会けんぽの被保険者は主に中小企業の会社員であり、組合健保の被保険者は主に大企業の会社員です

保険者被保険者
協会けんぽ全国健康保険協会主に中小企業の会社員
組合健保健康保険組合主に大企業の会社員
健康保険の保険者

※協会けんぽの窓口は、全国健康保険協会の都道府県支部、年金事務所であり、

組合健保の窓口は健康保険組合です

※健康保険組合には、1つの企業(常時700人以上の従業員)によってつくられる単一組合と、同業または同一地域の中小企業が集まって(常時3,000人以上の従業員)つくられる総合組合があります

被保険者

健康保険に加入し、必要な給付を受けられる人のことを被保険者といいます。原則として、適用事務所に勤務する人は被保険者となります。さらに、次の要件に該当する短時間労働者は、全員健康保険に加入します

短時間労働者が被保険者になる要件は以下のようになります

「1週の所定労働時間あるいは1カ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上」

また、被保険者が常時101人以上の事務所(特定適用事務所)で、上の要件を満たさなくても次の要件すべてを満たした場合も健康保険の被保険者となります

1.1週間の所定労働時間が20時間以上

2.賃金月間88,000円以上

3.雇用期間の見込みが2カ月以上

4.学生でない方

※厚生年金保険の被保険者も要件は同じです

被扶養者

健康保険では、被保険者に扶養されている被扶養者も保険給付を受けることができます。被扶養者となるのは以下の要件を満たしており、かつ日本国内に住所がある人あるいは※日本国内に生活の基礎があると認められる一定の人です

※例えば、海外留学生にように日本国内に住所を持っていないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる一定の人です

※国内に住所があっても、被扶養者になれない一定の場合があります(例えば、医療滞在ビザで来日した人など)

被扶養者の範囲

被扶養者の範囲は以下のようになります

1.被保険者と同居しているかに関わらず被扶養者となる人

(a)配偶者(内縁関係を含む)

(b)本人の兄弟姉妹

(c)子・孫

(d)本人の直系尊属

2.被保険者との同居が条件となる人

(a)被保険者の3親等以内の親族(1に該当しない人)

(b)被保険者の内縁の配偶者の父母および子

(c)内縁の配偶者死亡後の内縁の配偶者の父母および子

後期高齢者医療制度の被保険者(75歳以上の人など)は被扶養者にはなれません

被扶養者の認定基準

被保険者に一定の収入がある場合、被扶養者として認定されるためには、以下の要件を満たす必要があります

1.同居の場合

年収が130万円未満(60歳以上または一定の障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者の年収の2分の1未満であること

2.別居の場合

年収が130万円未満(60歳以上または一定の障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者からの援助金(仕送り額等)より収入が少ないこと

※収入には、公的年金制度の障害給付・遺族給付や雇用保険の失業等給付などが含まれる

※雇用保険の基本手当を受給する場合は、基本手当日額が3,612円未満、60歳以上は5,000円未満であること

保険料

健康保険の保険料は以下のようになります。保険料は、原則として、事業主と被保険者が折半して負担(労使折半)します

協会けんぽの場合

[標準報酬月額・標準賞与額]×都道府県単位保険料率

※都道府県ごとに異なる保険料率(3.0~13.0%の範囲内)が採用されています。ちなみに2022年度の保険料率は全国平均で10.0%となります

組合健保の場合

[標準報酬月額・標準賞与額]×(3.0~13.0%)

※組合健保の保険料率は、上記の範囲内で、健康保険組合が自主的に決めることができます

標準報酬月額

標準報酬月額とは、被保険者が受ける報酬額をいくつかの区切りのよい等級に区分したもので、この区分に基づいて毎月の保険料や給付額の算定が行われます。健康保険の標準報酬月額は第1級58,000円から第50級1,390,000円までの50等級に区分されます

標準報酬月額の主な決定・改定方法には、定時決定と随時改定があります

1.定時決定
  • 4・5・6月の給料の平均を、その後の1年間(9月から翌年8月まで)の給料とみなします
  • 17日未満の月は対象外です
  • 残業手当や宿直手当、通勤交通費なども含みますが。実費弁償的な出張旅費などは含みません
2.随時改定
  • 被保険者が実際に受けている報酬の額に著しい変動(2等級以上の差)が生じ、保険者が必要と認めた場合には、定時決定を待たずに標準報酬月額の改定を行うことができます

標準賞与額

3カ月を超える期間の賞与から1,000円未満を切り捨てた額です。標準賞与額に関する健康保険の保険料賦課の上限額は年度累計額573万円です

産前産後休業・育児休業中の保険料免除

産前産後休業・育児休業中の保険料は、子が3歳になるまで、申請により本人負担分・事業主負担分ともに免除されます

※厚生年金保険料にも同様の制度があります

給付内容

給付の対象となる保険事故は以下の通りです。ただし、被扶養者には、休業の場合に給付される傷病手当金と出産手当金は支給されません

疾病負傷障害出産老齢死亡
××
給付の対象となる保険事故

療養の給付(被保険者)・家族療養費(被扶養者)

被保険者の業務外の事由による疾病・負傷については、保険医療機関または保険薬局等に保険証を提示することにより、現物給付(直接の療養を与える方式)が行われます。ただし、療養に要した費用の一部は、一部負担金として被保険者が保険医療機関・保険薬局に支払います

生まれてから小学校入学までは2割

小学校入学から70歳までが3割

70歳から75歳未満の方は一般的な所得の方は2割、現役世代並みの所得の方は3割

となっています

療養費(被扶養者は家族療養費)

次のいずれかの要件を満たす場合、負担した医療費を保険者に請求し、一定額の払戻しを受けられる制度が療養費です

療養費の支給要件

①被保険者が療養の給付等を受けることが困難である場合

(例)資格届の手続き中で保険証を提示できず、自費で診療を受けた

②被保険者が保険医療機関等以外の病院等で診療、薬剤の支給または手当を受けたことが、やむを得ないと認められる場合

(例)海外旅行中の急病により病院で診療を受けた

高額療養費

一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。医療費の自己負担額は、70歳未満と70歳以上では計算方法が異なります

1か月当たりの医療費の自己負担限度額(70歳未満)
  • 標準報酬月額が83万円以上・・・252,600+(総医療費-842,000円)×1%【140,100円】
  • 標準報酬月額が53万円~79万円・・・167,400+(総医療費-558,000円)×1%【93,000円】
  • 標準報酬月額が28万円~50万円・・・80,100+(総医療費-267,000円)×1%【44,400円】
  • 標準報酬月額が26万円以下・・・57,600円【44,400円】
  • 低所得者※・・・35,400円【24,600円】

【 】内は年4回目以降の額

※生活保護の被保護者や市町村民税非課税世帯などの人

入院時食事療養費入院時生活療養費の自己負担額、保険外併用療養費の差額部分(先進医療費や差額ベッド代など)は対象外となります

高額療養費のポイント(70歳未満の方の場合)
  • 各月ごと、同一の診療ごと、同一の医療機関ごと(外来・入院別、医科・歯科別)に行われます
  • 被保険者または被扶養者が複数の医療機関にかかり、それぞれ21,000円以上の額は、医科・歯科、入院・通院を合算可能です
  • 同一世帯内で同じ月に、自己負担額が21,000円以上のものが2件以上あれば、一世帯で合算した金額が対象です
  • 同一世帯で直前の1年間(12か月間)に、すでに3回以上高額療養費の支給を受けていて、さらに4回以上高額療養費が支給される場合は、4回目からは自己負担限度額が上記の【 】内の金額に軽減されます
  • 診療を受けた月の翌月の初日から2年以内なら請求可能です。ただし、診療費を翌月以後に支払った場合は、その支払った日の翌日から2年以内です
  • 限度額適用認定証を申請して医療機関に提示すれば(入院療養等について)、高額療養費が現物給付されます(窓口での支払いが自己負担限度額までとなります)
  • 外来療養においても高額療養費が現物給付されます

※医療保険の「同一の世帯」は、加入している医療保険ごとに判断するため、住民票上の世帯とは必ずしも一致しません

(例)健康保険(協会けんぽ)、健康保険(組合健保)、国民健康保険、後期高齢者医療制度の被保険者は別々の世帯として扱います

1か月当たりの医療費の自己負担限度額(70歳以上75歳未満)
  • 標準報酬月額が83万円以上(課税所得690万円以上)・・・252,600+(総医療費-842,000円)×1%【140,100円】
  • 標準報酬月額が53万円~79万円(課税所得380万円以上)・・・167,400+(総医療費-558,000円)×1%【93,000円】
  • 標準報酬月額が28万円~50万円(課税所得145万円以上)・・・80,100+(総医療費-267,000円)×1%【44,400円】
  • 標準報酬月額が26万円以下(課税所得145万円未満)・・・外来(個人ごと)の場合18,000円(年間上限144,000円) 外来・入院(世帯)57,600円【44,400円】
  • 低所得者Ⅱ※1・・・外来(個人ごと)の場合8,000円 外来・入院(世帯)24,600円
  • 低所得者Ⅰ※2・・・外来(個人ごと)の場合8,000円 外来・入院(世帯)15,000円

【 】内は年4回目以降の額

※1 被保険者が市町村民税の非課税者である場合

※2 被保険者とその扶養家族すべての人の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合

高額療養費のポイント(70歳以上75歳未満の方の場合)
  • 病院・診療所、歯科の区別なく合算します
  • 各月ごと(1日から末日まで)の受診について計算します
  • 同一世帯内(70歳以上75歳未満の世帯内の場合)同一月内のすべての自己負担額を合算することができます

高額介護合算療養費

療養の給付に係る一部負担金等の額および介護保険の利用者負担額の年間合計額が著しく高額になる場合には、負担の軽減を図る観点から高額介護合算療養費が支給されます。毎年8月1日~翌年7月31日までの1年間に支払った医療保険の自己負担額および介護保険の自己負担額が対象となります

高額介護合算療養費のポイント
  • 医療保険、介護保険ともに食費・医療費、差額ベッド料などは合算の対象となりません
  • 同一の医療保険制度に加入している世帯であれば、世帯の医療保険と介護保険の自己負担額を合算することができます
  • 住民基本台帳の世帯と異なるため、健康保険と国民健康保険等の異なる医療制度に加入している世帯は、住民票上は同じ世帯であっても合算対象となりません
医療・介護保険の自己負担額の合算の上限(年間・70歳未満)
  • 標準報酬月額が83万円以上・・・212万円
  • 標準報酬月額が53万円~79万円・・・141万円
  • 標準報酬月額が28万円~50万円・・・67万円
  • 標準報酬月額が26万円以下・・・60万円
  • 低所得者※・・・34万円

※生活保護の被保護者や市町村民税非課税世帯などの人

医療機関別、医科・歯科別、入院・通院別に21,000円以上ある場合に合算対象となります

医療・介護保険の自己負担額の合算の上限(年間・70歳以上75歳未満)
  • 標準報酬月額が83万円以上・・・212万円
  • 標準報酬月額が53万円~79万円・・・141万円
  • 標準報酬月額が28万円~50万円・・・67万円
  • 標準報酬月額が26万円以下・・・56万円
  • 低所得者Ⅱ※1・・・31万円
  • 低所得者Ⅰ※2・・・19万円※3

※1 被保険者が市町村民税の非課税者である場合

※2 被保険者とその扶養家族すべての人の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合

※3 介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円

傷病手当金

傷病手当金は、被保険者が病気・ケガで仕事を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に、休業中の生活を保障するために支給されるものです

傷病手当金の支給要件

支給要件は、次の4つをすべて満たすことが必要です

  • 病気・ケガのための療養中であること
  • 療養のために仕事に就けないこと
  • 原則として、給料等をもらえていないこと
  • 続けて3日以上休んでいること※1

※1 休業した日から継続した3日間の待期期間(年次有給休暇を取得した日や会社の公休日を含む)は支給されません。4日以上休業した場合、4日目から支給されます

※被保険者であった者が、その資格を喪失した場合は、資格喪失日の前日(退職日)に傷病手当金を受けていたか、または、受ける要件を満たしていた場合に傷病手当金が支給されます

支給される額

傷病手当金として支給される額は、休業1日につき、支給開始日※以前の継続した12か月間の標準報酬月額の平均値を30で割った額の3分の2相当額となります

事業主から報酬を受けられる場合は、その報酬の額を控除した額が傷病手当金として支給されます

障害厚生年金等を受給する間は、傷病手当金の額について調整が行われます

※支給開始日とは、最初に給付が支給された日のことをいいます

※支給開始日以前の期間が12か月満たない場合は、以下の2つを比較し、少ない方の額を使用して休業1日間当たりの額を計算します

  1. 支給開始日以前の継続した各月の標準報酬月額の平均値
  2. 当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均値
支給期間

傷病手当金が支給される期間は、支給開始日が2020年7月1日以前の場合、支給開始日から1年6か月(暦日)ですが、支給開始日が2020年7月2日以後の場合、支給開始日から通算1年6か月(出勤日除く)です

出産育児一時金(被扶養者は家族出産育児一時金)

被保険者が出産(妊娠4か月以上)をしたときは、出産育児一時金として、1児ごとに42万円が支給されます。被扶養者が出産した場合には、被保険者に家族出産育児一時金として42万円が支給されます。多生児を出産したときは、胎児数分だけ支給されます(例えば、双生児の場合は2人分)

※被保険者に支給するのではなく、保険者が医療機関等に直接支払う直接支払制度もあります。この制度を利用する際には、保険者に対しての事前申請は不要ですが、出産前に、保険証を医療機関等に提示し、医療機関等と出産育児一時金の申請および受取りに係る代理契約を締結する必要があります。なお、出産費用が出産育児一時金よりも少額である場合は、保険者に対して差額の支給を申請することができます

※産科医療補償制度に加入していない医療機関等において出産したとき、または、妊娠週数22週未満で出産したときは、40万8千円となっています

※産科医療補償制度とは、妊婦が安心してお産ができるように分娩期間が加入する制度です。加入機関でお産をした場合、分娩時に何らかの理由により重度の脳性まひとなった赤ちゃんとその家族の経済的負担が補償されます

※このほか、出産費貸与制度があります。これは、出産費用に充てるため、出産育児一時金が支給されるまでの間、出産育児一時金の8割に相当する額を限度に、無利子で資金の貸付けを受けられる制度です

出産手当金

出産のため仕事を休み、事業主から十分な報酬が受けられなかったときには、出産手当金が支給されます。支給されるのは、出産の日以前42日(双生以上の場合は98日)から、出産の日後56日までの間で仕事を休んだ日数分です。出産の日が出産予定日より遅れた場合は、その遅れた期間も支給されます

出産手当金の額は、傷病手当金の額と同様に算出します。すなわち、休業1日につき、原則として、支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額の平均値を30で割った額の3分の2相当額です。また、出産手当金と傷病手当金の両方の支給要件を満たし、傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多い場合、その差額が出産手当金に上乗せされて支給されます。なお、事業主から報酬を受けられる場合は、その額を控除した額が出産手当金として支給されます

埋葬料(埋葬費)・家族埋葬料

  • 被保険者が死亡した場合、一律5万円の埋葬料が支給されます。※被保険者であった人が、その資格を喪失した日後3カ月以内に死亡した場合も埋葬料が支給されます
  • 家族のいない被保険者が死亡した場合、実際に埋葬を行った人に、埋葬料(5万円)の額の範囲内で埋葬にかかった費用が埋葬費として支給されます
  • 被扶養者が死亡した場合、被保険者に対して5万円の家族埋葬料が支給されます

給付のまとめ

被保険者に対する給付被扶養者に対する給付
病気やケガをした場合療養の給付家族療養費
病気やケガをして立替え払いをした場合療養費家族療養費
一部負担金が一定額を超えた場合高額療養費
高額介護合算療養費
高額療養費
高額介護合算療養費
病気やケガで会社を休んだ場合傷病手当金    ー
出産した場合出産育児一時金
出産手当金
家族出産育児一時金
    ー
死亡した場合埋葬料(費)家族埋葬料

任意継続被保険者

退職して被保護者の資格を失ったときは、一定の条件のもとに被保険者の資格を継続することができます。この制度により加入した人を任意継続被保険者といいます

任意継続被保険者となるための要件

  1. 被保険者でなくなった日までに、継続して2カ月以上の被保険者期間があること
  2. 被保険者でなくなった日から20日以内に被保険者になるための申請をすること

※申請先

<全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)に加入した場合>

被保険者の住所地を管轄する全国健康保険協会の都道府県支部

<組合管掌健康保険(組合健保)に加入していた場合>

所属していた健康保険組合

※被保護者でなくなった日から2年間、任意継続被保険者となります

保険料

任意継続被保険者の保険料は全額自己負担となります。被扶養者についての保険料負担はありませんが、被保護者が属する世帯の所得に応じた軽減措置はありません

標準報酬月額(以下の1,2のうち少ない額)×都道府県単位保険料率

  1. 当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
  2. 前年(1~3月の標準報酬月額については、全前年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管轄する全被保険者の標準報酬月額を平均した額を報酬月額とみなしたときの標準報酬月額。上限は30万円

給付

任意継続被保険者である間は、原則として、在職中の被保険者が受けられる保険給付と同様の給付を受けることができます。ただし、出産手当金と傷病手当金は支給されません(1年以上被保護者であった人で、資格喪失時に傷病手当金または出産手当金の支給を受けている場合には、継続してその給付を受けることができます)

資格の喪失

以下のいずれかに該当する場合、任意継続被保険者の資格を喪失します

  • 会社に就職し、健康保険の被保険者になったとき
  • 後期高齢者医療制度の被保険者などになったとき
  • 任意継続被保険者になってから2年を経過したとき
  • 保険料を納付期日までに給付しなかったとき
  • 任意継続被保険者をやめることの申出をしたとき
  • 死亡したとき

国民健康保険

1961年、全市区町村において国民健康保険事業が実施されることとなり、国民皆保険が実現しました。これにより、全国民が何らかの公的医療保険に加入することとなり、ここに対応する保険料の負担をもと一定の医療を受けることができるようになりました

保険者

市区町村都道府県に加えて医師や建設業者などの同業者でつくる国民健康保険組合などが保険者です

都道府県および市区町村都道府県(中心的役割)
→財政運営責任などを負う、標準保険料率を示す
市区町村
→標準保険料率を参考に保険料を決定、被保険者資格の管理※、保険料の徴収保険給付などの窓口業務を運営
国民健康保険組合同業者でつくる国民健康保険組合が運営
保険者

※同一都道府県内での住所異動については資格得喪は生じないが、被保険者証は異動先の市区町村で再発行を受ける必要がある

被保険者

国民健康保険には、健康保険などの被保険者とその被扶養者や生活保護を受けている世帯を除いて、その市区町村に住所がある人はすべて加入しなければならない(強制加入)ことになっています。具体的には、自営業者や会社を辞めた人などが該当します。加入手続きは居住地区の市区町村役場で行います

  • 原則として、市区町村に住所がある人は、国民健康保険の被保険者
  • ただし、次の人は国民健康保険の被保険者ではない(ほかの制度が適用される)
  1. 健康保険の被保険者と被扶養者
  2. 船員保険の被保険者と被扶養者
  3. 公務員の共済組合の組合員と被扶養者
  4. 私立学校教職員の共済制度の加入者と被扶養者
  5. 後期高齢者医療制度の被保険者
  6. 生活保護を受けている世帯
  7. 国民健康保険組合の被保険者 など
  • 国民健康保険は、世帯単位で加入し、世帯主が届け出をする
  • 市区町村が実施する国民健康保険では、大人や子どもの区別がなく、一人ひとりが被保険者となり、被扶養者という概念は存在しない

保険料

都道府県は市区町村ごとの標準保険料率を設定しますが、保険料率を決定するのは市区町村であるため、保険料(税)額は市区町村によって異なります。また、保険料(税)は世帯単位で計算され、世帯主が支払います。所得割資産割均等割平等割という4つの項目から構成されており、その組合せも市区町村によって異なります。なお、医療分の限度額は65万円です

給付内容

  • 療養の給付
  • 保険外併用療養費
  • 療養費
  • 移送費
  • 高額介護合算療養費
  • 葬祭費
  • 特定療養費
  • 入院時食事療養費
  • 入院時生活療養費
  • 訪問看護療養費
  • 高額療養費
  • 出産育児一時金
  • 葬祭の給付

※保険者の任意給付

傷病手当金 出産手当金

健康保険の取扱いと異なり、業務上外を問わず、疾病・負傷、死亡、出産に関して保険給付を行います

診療を受ける際には、世帯主・家族とも、医療費の一定割合を一部負担金として支払います

負担割合は、健康保険と同じです

傷病手当金および出産手当金については、次の1および2の要件を満たした場合、傷病手当金・出産手当金の支給を受けることができます

  1. 健康保険の任意継続被保険者の期間を除き、退職日までに継続して1年以上の健康保険の被保険者期間があること
  2. 健康保険の被保険者資格を喪失したときに傷病手当金・出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること

後期高齢者医療制度

対象者

75歳(後期高齢者医療広域連合から所定の障害の状態にある旨の認定を受けた場合は65歳以上75歳未満)になると、それまで加入していた国民健康保険や健康保険から脱退し、全員、後期高齢者医療制度の被保険者になります

後期高齢者医療制度には被扶養者という概念はないため、健康保険等の被保険者が後期高齢者医療制度に加入した場合、その人に扶養されていた75歳未満の人は、新たに国民健康保険等に加入することになります。なお、生活保護受給者は被保険者になりません

保険者

保険者は、後期高齢者医療広域連合です。これには、都道府県の区域内のすべての市区町村は加入しています

保険料

  • 所得に応じて決まる所得割額と、加入者が等しく頭割りで負担する均等割額とで構成されます。それぞれ都道府県によって異なります
  • 保険料の年間の賦課限度額は66万円です
  • 保険料の徴収方法には、公的年金から天引きする特別徴収と、納付書や口座振替によって納付する普通徴収があります

年金年額18万円未満→普通徴収

年金年額18万円以上、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が年金額の50%以上→普通徴収

年金年額18万円以上、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が年金額の50%以下、口座振替での納付を希望する→普通徴収

年金年額18万円以上、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が年金額の50%以下、口座振替での納付を希望しない→特別徴収

  • 保険料には被保険者の世帯の所得に応じた軽減措置や、被用者保険の被扶養者であった人に対する軽減措置があります
低所得者元被扶養者
均等割額所得に応じて7割、5割、2割の軽減措置あり制度加入後2年を経過する月までは5割軽減
所得割額軽減措置なし
※老齢給付以外に収入がなく、その収入額が153万円以下である被保険者の場合、所得割額は賦課されない
負担なし

自己負担割合

自己負担割合は1割です。現役並み所得者は3割負担となります。なお、1割になるか3割になるかは、毎年8月1日に決定されます

  1. 原則として、同一世帯の被保険者の中に住民税課税所得が145万円以上の人がいる→3割負担
  2. 1の場合であっても

(a)同一世帯に被保険者が1人の場合

その人の収入の合計金額が383万円未満(その人の収入と同一世帯の70~74歳の人全員の収入の合計金額が520万円未満)→1割負担

(b)同一世帯に被保険者が複数いる場合

加入者全員の収入の合計金額が520万円未満→1割負担

現在は、下の表のように自己負担割合を2割とする区別が設けられています

所得区分
世帯内の75歳以上の課税所得世帯の年金収入とその他の合計所得金額の合計
(最大の者で判定)単身世帯2人以上世帯自己負担割合
28万円以上200万円以上320万円以上2割
28万円以上200万円未満320万円未満2割
28万円未満  ー  ー1割

※長期外来受診については、旧ゲイン負担増を抑制するため、世帯の所得の状況等に応じ、自己負担割合が2割となる者の負担増加額を最大月3,000円までとする措置が、3年を限度として講じられる予定です

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